近視・遠視・乱視・老眼
近視・遠視・乱視・老眼と関連する病気
人は遠くのもの、近くのものを何の気なしに見ていますが、眼は遠くのもの近くのものの物体に対し、次々と調節を行って、眼の奥(網膜)に光の焦点を合わせ、脳にはっきりとした光信号を送ってものを認識しています。
近視とは
近視とは、眼を休めた状態で、遠くからの光が網膜よりも前にピントが合うため、遠くはぼんやりとしか見えません。
眼が前後に伸びる(眼軸が伸びる)ことにより起こることが多いですが、勉強やスマホ、ゲームを長時間休みなしに凝視する、つまり楽に見える距離よりもさらに近くにピント調節をすることを続けると、眼の筋肉が緊張したようになり、遠くを見ようとしても、以前よりもさらに遠くが見づらくなる、近視が強くなることもあります。
日本を含めたアジア圏では、欧米よりも近視の割合が多いとされており、近年では成長途中で強めの眼鏡をかけることにより眼軸が伸びて、更なる近視進行が促進されるといった報告も多くみられます。
近視の困ったところ
近視の眼は極めて軽いものでも見える範囲が限られているので、もちろん裸眼視力は悪いですし、学校で皆と集団視力検査の時には、いやな気持になるかもしれません。
また、一般的に小学校高学年になると裸眼で0.7未満では黒板の文字が見づらく集中力が落ちたり飽きっぽい性格になる傾向があるため、眼鏡などでの矯正が必要になります。
さらに近視が強くなると、眼の奥のものを見る膜(網膜)が弱くなり、網膜が薄くなったり、穴が開き(網膜裂孔)網膜が眼の奥からはがれてしまったり(網膜剥離)、光を最も敏感に感じる黄斑というところも弱くなり出血を起こしたり(黄斑変性症)、穴が開いたり(黄斑円孔)することがあります。
黄斑に出血やむくみ、穴が開くと、非常に視力が悪くなります。更には、眼の奥に集まった光信号を脳につなげる視神経が弱くなることにより、緑内障を生じるリスクも高くなります。
近視のよいところ
ただ、軽い近視では普通の状態で、近くは苦も無く見えますし、同年代の人と比べて老眼を自覚する時期が非常に遅くなるといわれています。
現代のパソコンやスマホなど近くを見ることが増えた現代では、ある程度の近視があったほうが、年齢が上がったとき楽のようです。
近視をどんどん進ませないために、近視が強い人の注意事項
上記のとおり、子供や若い人が30分以上休みなしに近業作業(近い距離で、勉強やスマホやゲームなど)を続けない。休息をとる、強めの眼鏡を掛けない、などが推奨されています。
また、一部の子供は調節を休ませる眼薬をつけることにより裸眼視力が上がることがあります。
また最近の調査では、子供の場合、屋外活動をすることで近視が進むのを抑制するということもわかってきました。
すでに近視が非常に強い人は、眼の奥の変化が起こっていないか、眼科を受診し、眼底検査(眼薬をつけて眼の奥をみる)検査をすること、慢性的な刺激(頭や眼を強く打ったり、押したりしないこと、いつもと見え方が変わった場合は早めの眼科受診が必要です。
遠視とは
遠視とは、眼を休めた状態で、光は眼の更に奥のほうでピントが合うので、本当はどこも見えていない状態です。
遠くも近くも調節しないと見えないため、休む時がない状態ですが、無意識にピントを合わせようとするため、軽い遠視の場合は学校検診では遠くが見える良い眼だといわれ、特に不自由はありません。近くを見るのには、さらに強いピント合わせが必要です。
遠視のよいところ
遠視の度数が少なければ、非常に少ない調節力で快適に遠くも近くも見えるため、老眼を自覚するまでは不自由は感じない方が多いです。また、赤ちゃんはみな遠視ですが、成長するに従い眼軸も長くなるため、遠視度数が減ってくることが殆どです。
遠視の困ったところ
遠視が強くなればなるほど近くを見るための調節力は少なくなるため、老眼の自覚症状が若いうちから出てきます。休む暇なくいつもピント合わせをしているため、眼精疲労や頭痛の原因になりやすく、加齢でピント合わせをする力が減ってくると、遠くまで見えづらくなります。
今まで眼鏡などを使ったことのない人が多いため、眼鏡に慣れるまで少し努力が必要ですし、特に65歳以上の女性で遠視が強い人は、急性緑内障発作を起こすリスクが高いといわれています。 子供では調節を頑張りすぎて、眼が内側による(調節性内斜視)になることもあります。
遠視が強い人に対して
頑張らなくても網膜上で像がきちんと結ばれるような度数の眼鏡やコンタクトレンズで眼の負担を減らします。例えば眼鏡をかけ始めは、外した時にかえってぼんやりするように感じますが、それは今まで「無意識に」頑張ってピント合わせをしていた眼が、安心して緊張を解いた証です。
乱視とは
乱視とは、一カ所にピントが合わない状態をいいます。近視はものがぼやけて見えますが、乱視はものが二重に見えます。また、夜間にものが見えにくくなったり、眼が疲れやすくなったりします。近視や遠視に併発して起こることが多く、その場合はさらに見えにくくなります。乱視の原因は、角膜や水晶体の歪みです。
乱視の対策
乱視は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが可能な正乱視と、ハードコンタクト以外では矯正不可能な不正乱視とがあります。ごく軽度の乱視であれば矯正しなくても大丈夫なことが多いです。
乱視が強い時に考えられる病気「円錐角膜」
約二千人に一人といわれていますが、円錐角膜は主に思春期に角膜が徐々に薄くなり、突出することで強い近視、乱視を起こす病気です。ある程度までは近視眼鏡で矯正することができますが、ひどくなると眼鏡ではカバーできなくなるため、通常はハードコンタクトレンズで視力を出します。
ただ、角膜の突出や変形が強くなると、普通のハードコンタクトではすぐに外れたり痛くなったり傷ができたりするので、特殊なコンタクトレンズが適応になることがあります。隣にある特殊コンタクトレンズ研究所で、それぞれの眼にあった特殊レンズを合わせます。研究所HPは下記からご覧いただけます。
老眼とは
老眼とは、加齢によって水晶体の筋肉が弱くなり、ピント調節機能がうまく働かなくなることをいいます。近くのものにピントが合わず見えにくくなります。また、近くから急に遠くを見たときに、はっきり見えるまで時間がかかることがあります。
老眼の対策
老眼は自然現象なので、治療方法はありません。老眼になったら、老眼専用の眼鏡(老眼鏡)で対処するのが一般的です。老眼鏡をかけたら老眼が進むということはありません。遠近両用などいくつか種類があり、かける人の必要性に合わせて作ります。遠近両用コンタクトレンズでも対処できます。